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2008 VOL1  2008バーゼルワールドレポート

bazel08

bazel08今年のバーゼルワールドは4月3日から10日までの八日間、スイスバーゼルにて華々しく開催され今年も多くの関係者が集まりました。
入場者はおそらく昨年同様10万人を越えていると思います。

昨年に打って変わり今年は寒さが残り朝は息が白く見えるぐらいでした。
例年宿泊しているドイツバーデンワイラーのホテルの話でも今年は例外の寒さだったようです。
そのせいか例年より木々の芽吹きも遅れ、まだ緑が少ない春浅い季節でした。

bazel08今年のフェアは一段とスイス勢が元気で、多くのブースのデコレーションが豪華に一新されスイスメーカーの数も増えているようです。

やはりここはスイスでありスイスのコミュニティが中心となっている展示会であることをあらためて感じさせられた年でした。

一方、日本を含めたアジア勢のブースには残念ながらこれといった強い勢いを感じることはできませんでした。
ある意味会社の勢いにも関係するでしょうが、あらためて見るとやはりこのフェアにおいてはスイスもしくはヨーロッパを優先したブースの間取りをしているという事実があることを強く感じざるをえません。

分かりやすく言えば出展者としてのアジア排除といっても過言ではない印象を強く受けました。

さてモデルの傾向ですが、私は雑誌の取材者ではないのでブースの中に招待されて新モデルを見ることはできないので個々のモデル詳細についてはおって時計誌の取材記事に委ねることにして私なりに全般的に感じたことを書いてみたいと思います。

大雑把に総括すると2008バーゼルワールドを見て思い浮かんだキーワードはざっと以下の言葉です。

機械式ウォッチのさらなる人気と高級化路線(複雑化も進んでいる)

スイスメーカーどうしの競演(饗宴) ⇒老舗と新興メーカーが入り混じった力作の饗宴。圧倒されます。

技術の進化 ⇒新機構の開発

時計デザインの進化 ⇒よりハイテクイメージなデザインへ進化している。

新素材の探求 ⇒従来のセラミック、カーボン、チタンに加えて新素材の採用。

ハイブリッド化 ⇒セラミック、金、カーボンとステンレスなどの異素材の複合。
 AQとメカのコンポジットなど機構的にも複合化

3D化 ⇒どんどん時計が立体的に

角型の定着

昨年にもましてレクタングルが一般化してきた感がある。
縦がドレス系、横がファッション系に多い。

これらは昨年とほぼ同様ですが今年はそれがさらに進化している感じを受けます。
もちろん私の個人的な興味から来る視点にも影響されています。

bazel08

それでは時計が展示される各ホールを順に紹介していきます。

ホール1(スイスを中心とした世界の大手ブランド)

ホール2(大手、中堅ブランド、従来は宝飾のコーナーだったが今年から一部分時計ブランドのスペースになった)

ホール5(世界の中堅ブランド〕

ホール6(ナショナルパビリオン、香港、韓国、中国などアジア勢中心)

HALL1; 1-0 G/F(HALL OF DREAMS),1-1 1/F(HALL OF DESIRES)

パテック、ロレックスなどいわずと知れた世界の大ブランドが立ち並ぶメインホール。この一番奥に日本のSEIKOとCITIZENのブースがある。
ちなみにCASIOが今年からホール3の横に新設されたPALACEというテントのようなパビリオンに入った。

bazel08毎年このホール1(1−0)で見る時計がバーゼルで最初に見るモデルとなる。
いつもすばらしい時計が並んでいるが実際のところ新モデルはあまり出ていない。
表にはあまり展示しないので取材陣と関係者以外はおって雑誌で拝見ということになる。
極めて閉鎖的といいたくなるがコピーしたい連中もうようよいるわけだし、取材陣のために大事に取っておくと言うこともあるだろう。

ここはいわば世界最高峰と言っていいスイスを代表する時計マニファクチュラーの世界である。
HALL 1-0には先の2社を初めHERMES, GUCCI, CHANEL, ZENITH, CONCORD, MOVADO, EBEL, CHOPARD, HUBLO, TAG HEUER, RAYMONDWEIL, CHRONOSWISS, BLANPAIN, ORIS, BREITRING,MAURICE LACROIX, BALL, EDOX, BELL&ROSS, ETERNA(PORCHE DESIGN),
そして SWATCH GROUP (OMEGA,TISSOT,LONGINES,RADO,MIDO,HAMILTON,CERTINAなど)が中心にデンと構えている。
ブースでは気がつかなかったがあらためてマップを見ると今年からBREGUETがJAQUET DROZと一緒に別ブースになっているのはスウォッチグループから離れたのか?

そしてその2階のHALL 1-1にどちらかというとゴージャスファッション系、メジャーなデザイナーズブランドと中堅のメーカーブランドが立ち並んでいる。

HERMES, DEWITT, FENDI, DE GRISOGONO, HARRY WINSTON , AIGNER, LANCASTER
POLICE, STORM, OAKLEY, BERTOLUCCI, BREIL, D&G, GUESS, BULOVA,
EGANA GROUP(CARRERA,CERRUTI1881,JUNGHANS, PIERRE CARDAN,PUMA,ESPRIT 他),
TECHNOMARINE, TIMEX, VICTORINOX,JAQUES LEMANS, などがある。

やはりこのホール1のモデルが次の時計トレンドリーダーになると言っていいだろう。
しかし先に書いたようにホール1-0にはあまり表に新モデルが無いのでこれと言った強い印象の新モデルは少なかったように思えるがむしろホール1-1(2階)が比較的新モデルを表に出していてその中に印象的なモデルが見られる。
特にダイバーなどのスポーツ系のデザインがどんどん進化している。

数年前から見られるZENITH,HUBROTのようなハイテクイメージデザインがCONCORD, ETERNA CONTIKI,AQUANAUTICなどに見られ、すでに従来の時計のデザインを超越した近未来ハイテクイメージの3Dなデザインが増えている。

個人的に大変興味深く、従来の普通に針が三本あってという伝統的な時計デザインの常識からはみだしたより自由で独創的なデザインになっている。
特に文字板周り、ケース、ベゼルなどの立体化が顕著である。
ケース横にも装飾やえぐりを入れた立体化が進んでいる。

機械式ムーブの進化とともにそれを外装で表現するためのデザイン饗宴が並行して進んでいるように思える。
スイスメーカー内でもデザイン競争が起きているのだなという感じを受ける。
もはやムーブだけではなく外装デザインでも高いレベルの独創性が勝負になってくると思われる。
この独創性という観点では、むしろ新興メーカーの中に光るデザインを感じる。
やはりスイスメーカー全体の時計のデザイン力の高さと底力を感じさせられる。

スイス時計輸出の現状(2008 BASEL WORLD資料から抜粋)

ここでバーゼルワールド入り口においてあった小冊子Swiss exhibitors The guide 2008“の中にスイス時計輸出統計watch export2007(英語版)がのっているのでその抜粋を以下に述べる。
今のスイス時計の活況を数字で知ることができる。

一言で言うとスイス機械式ウォッチの輸出額は2000年あたりから急伸し2004年からそれが加速している状況である。

2007年のスイス時計輸出は前年より22億CHF(スイスフラン)(約2200億円)伸びて160億CHF(約1兆6000億円)となっている。
これは前年比16.2%の伸びで過去18年での最高の伸び率となっている。
なかでも特にLuxury products(高級品)が伸びている。

2000年からの変化を見るとクオーツは48.6億CHFでたいした変化はないが機械式ウォッチの伸びは約44億CHFから99億CHFまで2倍以上の伸びになっている。
1996はクオーツ35億CHFに対し機械式が31億CHF、それが 2001に逆転しそれぞれ46億CHFと50億CHFになっている。
その後機械式は2004年が約60億CHFでその後毎年10億CHF(約1000億円)以上の伸びを示している。

数量ベースでは2007が約100万個(4%)伸びて2590万個の輸出.

材料別内訳でみると数量ベースでSTEEL(ステンレス)が58%,OTHER MATERIAL(セラミックなど金属以外)が20%、BI-METASL(金とステンのコンビ)が3%.PRECIOUS METALS(貴金属)が2%、 OTHR METAL17%,となっている。
特に金やセラミックなどの高級品が伸びている。

地域別ではアジアの伸びが大きく+18.9%で44%のシェア、これは間違いなく中国マーケットの伸びだろう。
次がヨーロッパの34%で17.6%の伸び、さらにアメリカの20%となる。

国別の輸出データで見ると一位がUSAで15.2%(+6.7%伸び)、2位がHongKongで15.2%(+25%),3位がJapan7.6%(-4.7%),その後Italy6.4%(+13.3%),France6.2%(20.9%),Other country49.3(+20.7%)と続く。

世界平均で16%の伸びを示している。
日本だけが5%近く落ちているのは興味深い。理由はなんだろうか。
電波時計が日本市場をのばしているのか、それともスイス時計のすさまじい高価格にそろそろ日本の消費者が冷めてきたのか。

ちなみに中国が+43%伸びて9位に、ロシアが+57.4%伸びて12位になっている。

この統計を見るとスイス機械式の高額品が世界中で伸びていることがよく分かる。
その背景があって新しいスイスブランドが続々と立ち上がっているのだろう。しかもそれらはかなり高価である。

HALL2-0; HALL FASCINATIONS

ここは昨年まで宝飾のコーナーだったが今年から半分が時計ブランドのブースとなった。
そしてホール1との間に通路ができ、正面入り口に戻らなくても簡単に行き来できる。
ホール1ほどのメジャーブランドではないが各ブースともスペースをとりいい時計が並んでいた。

ここはどちらかと言うとスイス以外のメーカー、イタリーほか海外の会社が多くドレス、ファッション系のモデルが多かった。

中にロシアの会社があったがデザイン、質感ともにレベルが高く驚かされた。POLUOTをはるかにしのぐ時計である。

このホールには以下のブランドが出展している。
TUTIMA, XEMEX, ARMOND NICOLET, EPOS MONTRES, REUGE,JOVIAL, LORENZ, SDDH, ANONIMO, GRIMOLDI MILANO, DOXA, TOY WATCH, ATLANTIC WATCH, GLYCINE, LOIS ERARD, WINTEXなど約50社。

HALL4; HALL OF INSPIRATIONS  4-0 (G/F),4-1(1/F)

ホール4は1階にBVLGARIグループが巨大なブースを構えている。
その中にDANIEL ROTH とGERALD GENTAがある。
いつも時間が無いのでこのスペースまでじっくりと見ることができないので詳細は割愛する。
時間があれば高級品をじっくり観察できる興味のあるブースである。
その隣に高級携帯で有名なVERTUがある。時計を出していたのか興味がある。

HALL5;HALL OF EMOTIONS  5-0(G/F),5-1(1/F)

bazel08ホール5は世界的な中堅ブランドで、メジャーではないがすでに知名度の高いのもある。
またETA,RONDA,CITIZENなどのムーブメーカー他、バンドなどの時計部品でもブランドとして認められた会社がこのホールに入っている。

ここは数年前からケンテックスもブース申請をしているが多くのブランドの待ちが多いと言うことでウェイティング扱いとなりいまだにその扉を開いてくれない。

本当にウェイティングなのかその真意が分からないままに時が過ぎている。
どうもアジア勢、特に香港勢には門を狭くしている様子がある。
もろもろの難関を設けてアジア勢をなるべく入れたくない本音が透けて見えてくる。

このホール5にはこれから伸びようとしている未発掘な中堅ブランドも出てくるので日本の時計輸入業者が代理店探しによく動いている。

5-0

SKAGEN, HAUREX ITALY, JUSTEX, FHB, JACOB JENSEN, AERO WATCH, ESTAR, NOON, HANHART, ODM(唯一香港ブランド)、CHARMEX, ENICAR, WESTARなど、
そして日本のSIIセイコーインスツルのブースがある。

SIIは自社ブランドの他にISSEI MIYAKE, ALEESI WATCH, TSUMORI CHISATO, ANDY WARHALL,などのライセンスブランドを日本的なセンスで優れたデザイン力を見せている。

しかし日本を代表するマニファクチュラーとしては展示する商品が少し寂しい。
その優れた技術から生まれる機械式高級モデルを前面に提示して技術力をもっと世界にアピールすべきではないのかという印象を受ける。
価格的にも中級品主体のコレクションではなく世界の一流時計メーカーとしての本来の高級品を世界に示してもらいたい。
そうでないとホール1−1に多いただのライセンス時計のブースとの違いが外部には分かりにくい。
もっとマニファクチュラーとして主張するところがあってよいのではないだろうか。

5-1

このホールはあのAHCI、アカデミーと呼ばれる独立時計師たちが集まっているコーナーがある。
企業に属さず独自の工芸品的複雑時計を発表している。
すでに有名になっている人もいれば登竜門的立場の人もいる。
時計マニアにとってはじっくりと見て楽しみ、また時計師たちと話ができる場所である。

HALL6 ; NATIONAL PAVILLION(HALL OF UNIVERSE)

ここは香港、韓国、中国などアジア勢が中心のホールで時計とジュエリーのブースが700社ほど出展している活気のあるホールである。

OEMなどが主体となっているが近年各社ともブランド化が進んでいてデザイン、品質ともに目覚しい進歩がある。
ホール1に出ている有名なブランドでも実はこのホール6に出ている香港の時計メーカーから引いていることも少なくない。特にライセンスブランドはその手が多い。

バーゼル08

ケンテックスは香港TDC(貿易発展局)後援での参加のため例年ここにブースを構えている。
OEMモデルとともにケンテックスモデルを展示している。
bazel08今年もヨーロッパから多くのバイヤーの来客がありOEMビジネスとブランドのミーティングで成果を得た。

今年は昨年のトウールビヨン、クラフツマンのほかに新作のマリンマン3を発表した。
ケンテックス初の300m本格潜水防水(三針タイプ)で自動巻きとクオーツクロノグラフの塔載を予定している。
デザイン的にも進化し、斬新でこれまでにない新しいイメージを出していて多くの来場者にも注目された。

新モデルの詳細については私の“はしけんブログ”でその詳細を披露したい。

 

ホール6には韓国、中国のメーカーが入っているが年々そのレベルが上がっていることを注記したい。

ある人の紹介で中国のケースメーカーが1000m防水ケースを造っているということでそのブースを訪問しケースを見せてもらった。デザイン的な評価は抜きにしてしっかりとした技術の上でそれを実現していることに驚かされた。
減圧バルブもついている。
またシーガルなどの機械式ウォッチもダブルトウールビヨンやミニッツリピーター、パーぺチュアルとすでに3大複雑機構をものにしているのも特記したい。

中国の機械式ムーブは今世界的に大変な需要で生産が追いつかない状況である。
今は過渡期にあるが今後中国メカはその目覚しい技術力向上を追い風にさらに進化し、世界に浸透していくものと予測する。

今はこの中国メカが売り手市場になっているため品質の問題が改善されにくい状況にあるが市場に浸透していく中で徐々に良くなっていくだろう。
今後スイスを中心とした高級品と中国メカの中級品が市場を分けていくことになると思われる。

一方韓国勢は香港よりもブランド化で一歩進んでいる。
香港とは違ったテイストで独自の路線の時計造りをしている。
韓国のSWCなどはデザイン力が高くレベルの高い自社ブランド時計で輸出を伸ばしている。

こうしてみると日本の他の時計企業はなぜこのバーゼルワールドに出ていないのかとあらためて思う。日本にも時計産業はまだあるはずである。
日本はHKTDC(香港貿易振興発展局)のような政府のバックアップ機能がないし個々に事務局と交渉するしかないが、積極的に世界に出る会社があってもいいのではないか。

しかしスウォッチグループ総帥のハイエク氏は日本嫌いと言う話をよく聞く。
それなら日本でも業界が一つになって大きな国際時計(&宝飾)展を企画し世界に日本の技術力を知らしめるべきであろう。
日本の技術力とものづくりの精神とで生み出した日本独自のすばらしい時計を一堂に集める場を作るべきだと思う。

たまたまフェア期間中に来年のIJTショーに規模を大きくした時計フェアを同時開催するという知らせを受けた。この趣旨には大いに賛同したい。
日本の大手各社が独自の展示会のみで終わることなくこのような趣旨に積極的に賛同し日本の時計産業を一つのかたまりにして世界に鼓舞させ時計産業を復活させようとする意志を持ってもらうことが重要ではないか。
日本をリードする大手時計会社のこのようなリーダーシップを強く期待する。

まとめ

毎年バーゼルワールドに来て世界のトップレベルの時計たちを一堂に見るとそ
の美しさやすばらしさに感動する。

そしてその感動が自分の時計造りのエネルギーとなってくれる。

どのメーカーも自分たちの持っている強さを出し、ベストなものづくりをしてこのフェアに出品する。

一つ一つがすばらしい。

ここには確かに時計のワールドがある。

世界の時計クリエイターたちの情熱が入った作品がここにある。

優れた独創性の時計を見るとまだまだ自分の時計造りのレベルがたいしたものでないことに気づく。

だがそれらが刺激となってもっといいものを造りたいという気持ちが湧いてくる。

だから私は毎年このバーゼルワールドで各社が知恵とアイデアを絞った傑作を見逃さないためにここに来る。

来年もまたすばらしい時計に出会うために。

最後にこのフェア期間中に当社ブースにお越しいただいた企業の皆様、個人に心から感謝いたします。

2008年4月 KENTEX代表 橋本憲治

橋本

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